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プラタナス新芽賞 『白鳥への最後の贈り物』 松田 凜音ちゃん(小学5年生 11歳)

 私は白鳥。仲間と共に世界を渡る。あの場所は必ず渡る。しかし今年で最後になるだろう。少し急がねば。私は仲間に伝えあの場所へ渡るのを急いだ。それは、人間だが優しいあの子に会うためだ。あの子は、毎年長旅で疲れた私をいやしてくれる。1年前、私は次ここに来る時が最後になることを予想した。するとあの子は「私が、私があなたの最期をみとる」とほほえんでくれた。あの子がみとってくれると思うと、死ぬのも怖くなかった。でも、あの子の前で死ぬのは、あの子にショックを与えないだろうか。やっぱり一人で死のうか。でもそれは怖い。どうしようか…。そう悩んでいるうちに時はすぎ、あの子のいる場所へついてしまった。「あ!」あの子はこちらにかけより、心配そうに私を見上げた。私はあの子のそばにおりたち、元気づけようと羽を広げた。すると、あの子は安心したように笑った。それでも心の中は怖くて仕方がなかった。あの子のもとで過ごしてから数日がたち、私の体は少しずつこわれ始めた。次第に呼吸も苦しくなり、あの子も笑顔を見せなくなった。私はのどに物も通らなくなり、どんどんやせ細っていった。あの子は24時間私についていて、ずっとかん病してくれた。羽を広げて元気づけることもできなかった。あの子の笑顔が見れないことはとてもつらいことだが、動かすことのできない体ではとても無理な話だった。次の日、今日死ぬという予感がした。「ねえ、私は大きくなったらあなたの美しさを世界に伝えるの!バレリーナになってね!」とあの子は笑った。やっと笑った…。私はすっと目を閉じ、永遠の眠りについた。魂が天国へ行くとき、あの子の声が聞こえた。「私頑張るから、みててね」白鳥は安心して天国へと旅立った。10年後、あの子は大きなホールで踊っている。コンサートが終わり、あの子は空にむかって笑っていた。白鳥はあの子がこれからも幸せでありますようにと願った。