父の日の贈り物…干物…

娘からのメールは相変わらず来ない。こちらから出しても「ほいほい」とか、可愛い洋服を写メして「いらない?」と言うと
「いらん」という答え。

その娘から文章のメールが来た。「父の日にあげるもん、思いつかんさ。何がいいかな」と言うので「シャツとかがいいんじゃない?」と返信すると、しばらくしてまた来た。「シャツ……今第一候補は干物だわ……干物……」それから返事が来なくなった。干物とは予想外だ。でも北海道にはおいしい干物がたくさんある。何も干物じゃなくてもと思ったけれど、そのままにしておいた。

そして父の日の朝、クール宅急便が届いた。

1308コラム_ケロコ_フィット「やっぱり干物にしたのか」と思いながら開けてみたら、「長崎・佐世保発、一風干し」だった。カマス開き、あごみりん干し、いわしみりん、さばワインと、あまり食べたことのない魚がズラリ。干物と聞いてホッケしか思い浮かばなかった私が愚かだった。酒の肴にと思って、色々考えた様子が伝わって来る。早速、朝ご飯に焼いて食べたけれど本当においしかった。いつまでもボーっとした子供だと思っていたが、なかなか気の聞いた娘に成長したものだ。

今までお金が無いというSOSは一度だけあったが、気を良くした甘い母は「お金、足りてる?」と聞いてみた。
すると「パパの誕生日、母の日、父の日、友だちの誕生日と、怒濤のイベント続き。カツカツだけど生きてるよ」という返事。
お~、なんと健気な娘だろう。昔の私だったら「チャンス!」とばかり「もう金欠です」とかなんとか言って、お小遣いをせしめただろう。
そういう点では偉い。そこでまたまた甘い母親登場。「みずほ銀行、見てごらん。バーゲンだから洋服買っておいで」と、ちょっと多めに入金をした。
すぐに返事が来た。「ありがとう。全部使わないでとっとくよ~。ちまちま使うわ」確かに私が産んで、私が育てたのに、どうしてこうも私と性格が違うのか。私なら「ラッキー」とばかり、バーゲンに3日間は通いつめるだろう。堅実な娘だ。育て方が良かったのか……。

つい先日、「送ってほしいものない?」と聞いたら「サッポロクラシック」という返事。そしてついでのように「いつ来るの」と書いてあった。
5月には行きたいと思っていたのだが、仕事が結構入っていて、娘の休みに合わないので行けないでいる。考えたら、今年になってまだ一度も行ってない。
部屋はきれいにしているのか、洗濯はまめにやっているのか、ご飯はたまには作っているのか……病気にもならず、元気そうなので、なんとかやっているのだろう。
最近、色々な所で初対面の方から声をかけられる。このエッセイを読んでくださっている方々だ。「家も本当に同じなんです」と、立ち話が始まる。どこの親も子を思う気持ちは一緒だ。
先月「お休みは何するの」と聞いたら「総選挙に行く」と。「総選挙?えっ?東京だけ?」と混乱してたらAKB48の総選挙だった。
母の心配をよそに、娘は東京ライフを楽しんでいるようだ。