本日も、五味五法。

「即席麺は永遠に不滅です」の巻

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インスタントラーメン(以下即席麺)が好きである。
いわゆる本物も好きだがそれはそれ、これはこれ。本物派の方からは、そんなものはラーメンじゃないとのお声も聞こえてくるが、そうです、違います、これは即席麺という食べ物ですからと、開き直ることにしている。
で、思い出しては食べたくなって売り場へと向かうのだが、近頃どうも様子が違う。並んでいる商品の顔ぶれがやたらと新しいのだ。生麺食感を売りにした新製品を各社こぞって売っている。どうやら即席麺業界では革命が勃発したらしい。
何社かを試しに食べてみたが、麺は滑らかでしこしことしていて美味しい。スープも麺との相性良く、その完成度はなかなかのもの。こりゃ売れるはずだ。
でもやめられないのデス、昔のが。近年のを平成の即席麺と呼ぶなら、自分は昔からある昭和の即席麺が愛しいのである。
なぜって、これは小さな頃から食べているからとしか言いようがない。変わっていく時代の中で、変わらないことにほっとする。そんな瞬間が昭和の即席麺にもあるのだ。
うーん、ここまで来たら、もっと言わせて。私事で恐縮だが、即席麺といえば昔から「マ○ちゃんしょうゆラーメン」。味違いの姉妹品がありどれも美味しいが、そうだなあ、割合としてはしょうゆ7、みそ2、しお1で、断然しょうゆ。
いい意味で完成度が曖昧というか、○ルちゃんのしょうゆは、その分どんな具材とも美味しく食べられるという能力が高い。炒めた野菜や肉はもちろん、キムチや搾菜もよく合う。細切りのネギをふわっと盛ったのにラー油というのもいける。

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なんて話をしたら、真ん中に卵を落とした月見が一番という人がいれば、いやいや何も加えない素ラーメンこそ即席麺の醍醐味というのもいる。
みんな、好きなんだねえ。

 

 

 

「卵かけご飯」の巻

04gomigohou01 たまにご飯に卵をかけてみる。なぜたまになのかというと、ご飯に何かかけるとすれば、うちではもっぱら納豆だからだ。世に納豆がなければ毎日卵をご飯にかけていると思う。
というくらい好きなのだが、実は生卵の食感がちょっと苦手。溶き卵の、よくほぐれていない時の「ぬるん」というか「どぅるん」としたあれだ。

だからA型の性格を発揮し、チャカチャカと箸を高速回転。卵がサラサラの液状になるまで細かく溶いてから食べる。

それじゃ生卵の良さが台無しだ。「ぬるん」がなかったら、それはただの卵汁じゃないかと、そんな教育的指導を入れてくるのは大概、ご飯の真ん中にくぼみを作ってそこに卵を直接落とす派だ。醤油をかけたらざっくりと混ぜ「ぬるん」ごと飯を掻き込む。そして、うーん、これぞ卵かけご飯の醍醐味よと言うに違いない。

それはそれで良いと思うがその代わり、我が「サラサラ」系も卵かけご飯の一つとしてお認め頂きたい。汁だと揶揄された溶き卵も、ご飯と相まみえることで「ぬるん」系にはないふんわり感を生む。それもまた醍醐味なのだ。

そのようにして、卵かけご飯は案外繊細なものであるにも関わらず、その呼び名は、卵をかけたご飯、という事実がそのまんまで単純。巷ではTKGと呼んで面白がっている節もあるが、とどのつまり頭文字の羅列だ。

ご飯にバターを乗っければバターライスなんて呼び名もあるのに、エッグライスとは誰も呼ばない。いや待て、醤油をかける日本の味は日本語で。

とかなんとか、チャカチャカに時間をかけると、どうでもよいことにうつつを抜かしてしまうが、食べ物の話は楽しい。

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「ちょっとこだわり」 まずご飯と醤油なしの溶き卵よく混ぜる。そこに醤油をちょっとずつ。そうすると卵と醤油の味がそれぞれ引き立って美味しい。

「もひとつこだわり」 バター醤油がウマイ! バターとチーズをご飯に混ぜ溶かす。そこへ卵黄を乗せ海苔を散らし(黒胡椒も可)醤油をかけ混ぜながら食べる。

 

 

 

 

「おにぎりに感動する」の巻

01gomigohou01 食の指向が変わったり好き嫌いが治まるのは、意外に他愛もないことが理由だったりする。
自分がここのところ凝っているおにぎりも然り。映画『かもめ食堂』がきっかけだった。
とある食堂を舞台とした作品にはしばしばおにぎりが登場する。劇中、おにぎりは遠足に持っていくような非日常的なものとしてでなく、日常的な食事として扱われ、お腹を満たすだけでなく心も豊かにする、そんな力をもったものとして描かれていたように思う。おにぎりを拵える、食べる、すべての動作は自然で屈託がない。ほのぼのとした空気感に、おにぎりっていいものだなあと、すっかり感化されていたのだった。
観終わった直後の食事は勿論おにぎり。何よりもまず飯を炊き、主人公がそうしていたように、自分で握ってみたくなった。ふと思えば、おにぎりなんぞ食べる一方で、拵えたことがない。いわば、人生初握りはことのほか美味しかった。
映画ついでにもう一つ。おにぎりを「握る」ことに関しては『南極料理人』は圧巻だ。ご飯が手の平の中でおにぎりに変わっていく様子は芸術的に見え、単なる食欲を越えた感動さえ覚える。ご飯を茶碗に盛るか握るかの違いなどではない。おにぎりは、高い完成度を秘めた料理なのである。
かくして好物は何ですかと聞かれたら裸の大将よろしく「おにぎり」と答えるようになった自分なのだが、おにぎり一個で幸せな気持ちになれるのはずいぶんと安上がりで得したような気もしている。
何しろおにぎりは手軽である。食べたくなったら拵えればよい。映画でも、そんなふうにしていとも簡単におにぎりがテーブルにのった。
ところで、こんなマニアックな事情ではないにしろ、おにぎりは好きという人は多いと思う。というか嫌いという人には会ったことがない。また、食べると何かしら気分が良くなる、というのも皆の共通認識。おにぎりには、楽しい遠足の思い出だとか、握ってくれる家族の思いが刷り込まれているからだ。本来おにぎりとはそんなものだ。
皆様も今夜あたり、食卓におにぎりを並べてみてはいかがだろうか。家族で頬張るおにぎりはきっと美味しい。
ちなみに自分が握るとおにぎりは三角。母からの遺伝だ。

「然れどポテトサラダ」の巻

10gomigohou01 先日、枝豆の入ったポテトサラダというのをご馳走になった。ほう、面白いなと思いつつ新たな関心が。世には一体どれだけのポテトサラダがあるのか。
大別するなら、まずは玉ネギ、ニンジン、キュウリで作るシンプル派。魚肉ソーセージも欠かせないという人も多いだろう。
対して、ゆで卵やツナ、チーズを混ぜたり、時にはカボチャを加えたりするこってり派。
または、リンゴやミカン、レーズンで甘く仕上げるスイート派。
逆に、具は加えずクリームや牛乳で、なめらかな食感と風味を楽しむクリーミー派。
こだわり派というのがあるとすれば、カレー味にしたりニンニクを効かせたり、おからを入れて栄養価アップなんてお方も。
まさに千差万別。思いついて挙げてみただけでこんなにもある。
ちなみに、近頃自分が酒の肴に作るそれは、具を玉ネギ、ニンジンとごくシンプルにとどめ、マヨネーズも少量をつなぎ程度に。これだと味が決まらないので酢を少々。食べる時にマヨネーズをちょっとかけてひと口、ソースをかけてひと口、といった具合にイモと調味料の相性、そして酒といかに合うかを楽しむという趣向だ。醤油や粗挽きマスタードなども美味しい。
ところで、この手の話は料理好きや食いしん坊なら誰でも楽しいもので、何なら論争になるくらいがやり甲斐がある。甘くするのが我が家流とする人がいるなら、甘いのは苦手と反論が出るのもまた然り。
ただ、ご用心あれ。
ポテトサラダは本来、人それぞれに感慨のある家庭の味、おふくろの味だったりする。だから、うかつに相手の好みを否定できない、ちょっと注意が必要な食べ物でもある。
食べ物の好き嫌いは人格にも通ずともいう。ポテトサラダが原因でケンカ別れ、なんて話だけはご勘弁を。

「冷奴に目覚める」の巻

07gomigohou01豆腐は冷奴に限る。居酒屋でともに飲んでいた友人が言った。味や香り、食感がよく分かるのだと、冷奴を頬張りご満悦である。それなら湯豆腐だって似たようなものじゃないのかとやり返すと、冷たいものは冷たいまま食うから旨いのだときっぱり。自分のことを根っからの冷奴党とまで言い出したのはいいが、どうにも始末に終えないのは、実は自分、冷奴が苦手だったからだ。

麻婆豆腐や煎り豆腐は好物だが、冷たいままのが苦手。問題はその食べ方にある。ネギにカツオ節、おろし生姜などを盛り醤油をかけるのが一般的と思うが、それだと味に華がないというか、ただしょっぱく短調な感じがして飽きてしまうのだ。

折しも健康について注意が必要な年頃でもある。あれやこれやの摂り過ぎを気にするなら冷奴が一番。何しろ栄養豊富で低カロリー。その上うまいと来れば、酒を嗜むお前さんには冷奴が一石二鳥の肴じゃないか。

冷奴党がそう勧めるのだと、後日、家でそのことを話すと、連れはこんなのはいかがと「ネギ塩ヤッコ」なる冷奴を拵えてくれた。
初めて見る冷奴である。酒好きが高じて、肴は自分の手で色々と拵えてきたが、冷奴は対象外だ。
みじん切りにしたネギを塩で揉みゴマ油を加えたのを豆腐に乗せたという。なるほど、焼肉にもそういうのがあるが、豆腐に応用したという訳だねと食べてみれば、これがなかなか美味しい。ごま油と豆腐の相性、加えて塩揉みネギが良い。同じネギを使うにしても、単なる薬味とは仕事が違うようで、ネギの鮮烈な風味のあとから伝わる豆腐の甘味、隠れていたかすかな苦味さえよく分かる。とにかく、豆腐が旨い。

以来、我が晩酌にはしばしば冷奴が登場するようになった。連れの指南で、香草と天かすに天つゆ、ほぐした明太子にラー油、ザーサイを刻んでオリーブオイルなど、新たな冷奴を体験。さらには、もっと面白いアレンジはないかと、あれこれ試作に勤しんでいるところである。

次第に、興味は豆腐そのものにも向き、旨そうな豆腐を探すという楽しみも増えた。年を取らねば分からない味があると聞くが、自分には豆腐がそれか。

不思議なもので、それまで好まなかった鰹節にネギというのも悪くはないなと心境の変化もあったりで、冷奴党に入門してもいいかなと思うこの頃でもある。