育児のための衣服の条件②
手足を自由に動かせる衣服
赤ちゃんは目を覚ましているときはもちろんのこと、眠っているときでも盛んに身体を動かしています。一歳を過ぎると寝返りを何回もやるので、とうとうふとんの外へ出てしまい、ときには「どこへ行ってしまったんだろう」と探さなければならないことさえあります。
こういうのは身体が丈夫な証拠です。
さらに大きくなってからでも、子供は寝相が悪くて当たり前なので、布団の外へ飛び出しても腹が出て冷えたりしないようにする工夫が必要です。
赤ちゃんは裸にされると、とても喜んで手足をバタバタさせます。これは衣服を脱がされたことによって身体が自由になったからです。したがって赤ちゃんは衣服を着ている時でも、裸の時と同じように手足を自由に動かせるようにしてやらなくてはなりません。もちろん夜寝ている時も同じです。
自然な肢位を妨げないように
眠っている赤ちゃんを見たことのある人ならば誰でも知っていることですが、赤ちゃんが眠っている時の姿勢はバンザイをしたように両腕を上げ、掛け布団の外に両手を出しています。また脚は、お相撲さんがしこ四股を踏んで身体を沈みこませた時のように股を開いたかっこうになっています。このような手足の位置が赤ちゃんの自然な肢位なので、赤ちゃんが歩き始めるまでは、この体位が自由にとれるような衣服を着せることが大切です。細い袋のような衣服は赤ちゃんの股がよく開かないのでいけません。
このことは私たちがホテルのあの封筒のようなシングルベッドで寝るときや、寝袋(スリーピングバッグ)で寝るときの、きゅうくつなのを思い浮かべると、すぐ理解できるでしょう。
赤ちゃんの股はよく開くように日常生活で常にトレーニングしなければなりません。だから、お母さんが座っている時に赤ちゃんを抱っこする場合は、必ずお母さんの膝をまたぐように股を開いた形で抱くようにしましょう。
同様に、オンブをする時も赤ちゃんの両脚はそろえないで、赤ちゃんの膝がお母さんの脇腹へくるような形で背負うようにしてください。こうすることで赤ちゃんの運動能力の発達を助長するし、股関節脱臼の予防にもなるのです。オンブについては後であらためてお話します。
敷き布団の硬さは?
これにともなうこととして、布団の硬さの問題があります。赤ちゃんの敷き布団は身体が沈み込むような、やわらかいものはいけません。やわらか過ぎると、
・寝返りがしづらいので眠っている間 の運動ができない
・何かのはずみでうつぶせになった時、 寝返りができないと窒息する恐れが ある
・あお向けに寝ている時身体が沈み込 むと、その結果として膝が前へ出る ので自然な体位を妨げ、股関節脱臼 の発生を助長する
以上の点から、やわらかすぎる敷き布団はよくないのです。大人ならば背中が痛くて眠れないという程度の硬さがいいのです。