育児のための衣服の条件③

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赤ちゃんは事故の危険に常にさらされている

前回まで二回にわたって赤ちゃんの衣服の条件を述べてきましたが、それらは大人の場合にも通用する、いわば常識的な事柄でした。今回は赤ちゃんに起こるいろいろな事故のうち、特に重要な「ヤケド」(熱傷)と衣服の関係についてお話いたします。
赤ちゃんはハイハイするようになるまでは自分の身体を移動させることができないので、危険が迫っていても自力でそれから遠ざかることはできません。ハイハイができるようになり、さらに歩けるようになると、今度は自分の興味のあるところへは、途中に何があろうとまっしぐらに行こうとします。

いずれにしても、赤ちゃんは事故の危険に常にさらされています。私たちはこんな赤ちゃんを事故から守ってやらなくてはならない義務を負っているのです(法律の上でも)。

カゼをひかせるのは親の責任だなどと言う人が医者の中にまでいますが、これは無茶な話です。人工衛星に乗って宇宙で生活するか、カプセルに入って外界からまったく隔絶された生活でもしないかぎり、この地上で「カゼをひかせるな」とは「息もするな、メシも食うな」と言うのに等しいことなので、こんなことまで親の責任だと思う必要はありません。

 

素早く脱がせられること

しかし一方、いかに親のほうに味方して考えても親の責任だと言わざるをえない事故も少しはあります。その代表的なものがヤケドです。私達は日常、ヤケドには特に気を付けていなければなりません。しかし不運にもヤケドをさせてしまったら、次のようにしてください。

一.素早く着ているものを脱がせる  こと。

二.それができないときは、できるだ け早く多量の水をかけること。た だし塩酸や灯油など、薬品を浴びたときは水をかけ
てもだめ。脱がせるしかない。

三.火やお湯にしろ、薬品による場合 にしろ、ヤケドの程度がひどくて 服を脱がせたら水ぶくれの皮が一 緒にはがれるよ
うなときは、着て いる物をハサミで切って、できるだ け水ぶくれを壊さないようにして 子どもの肌から着ている物を
取り 去ること。

四.以上の処置をやったら、ただちに 皮膚科か、形成外科か、外科の病 院へ連れて行くこと。もちろん、か かりつけの
小児科でもいい。

 

赤ちゃんの衣服を買うときは、ヤケドのことを常に思い浮かべ、とっさの場合に素早く脱がせることができるかどうかをまず考えることです。

色や柄がどんなに気に入っても、デザインがいかに素晴らしくても、脱がせるのに手間取る衣服は絶対に着せてはいけません。これが赤ちゃんの衣服を選ぶときの最優先の条件です。
また浴衣などはすぐには燃えないものであることを必ず確認してから買うこと。化学繊維の浴衣を着て花火をして遊んでいるうちに、その火が浴衣に燃え移って、アッという間に全身火だるまになった、という例があります。