やっぱり愛しい―。

娘がいない2回目のお正月を迎えた。大学で東京に行ってから、早いもので、もう5年10か月たつ。2、3年くらいは、娘がいないという生活に慣れていなかった。夕方になると、もう帰って来る頃と外出から帰ろうとしたり、夕食の支度をしている時に、これをお弁当用に取り分けておこうとして、「あっ、いないんだ」と思ったり。いないという事実に慣れるのに時間がかかったけれど、人間というものは慣れるものなんだ。

02keroko
12月の初め、仕事の都合でなかなか帰って来れない娘が、一年ぶりに一週間休みが取れたと言って帰って来た。使っていない娘の部屋は、荷物置き場になっていたが、片付けて前と同じにした。何を食べたいのか聞いて、張り切って用意して待っていた。帰って来て、いつもの椅子に座って第一声は「お腹すいた」。時間の隔たりがあっても、親子って、すぐに元の日常に戻れる所がすごい。ほんわかムードもつかの間。聞いてはいたけれど、次の日から二泊で友達と温泉に行ってしまった。
「どうせラジオだからいいでしょ」と、軽く言う娘。娘が外出しいる間に、珍しく風邪をひいてしまった。札幌のおばあちゃんに会いに行って、買い物もすると言っていたので、熱なんか出していられない。即、病院に行って点滴をしてもらい、翌日には無事、札幌へ行く事ができた。東京に戻る日は、「じゃーねー」とサラッと言って、行ってしまった。押し寄せる寂しさには、まだ慣れることができない。

去年のお正月は、インフルエンザで寝込んでいた娘。今年は大丈夫だった。おせちを送ったのだが、届いたと連絡が来ないので、「届いたかい」とメールすると、「うん。ありがとう」と返事が来た。おいしかったとか、こんなのまで入れてくれて嬉しかったとか言えないのか。こんな娘の性格がわかってはいるものの、もう少し何とかならないのかと思ってしまう。

娘ももう24歳になった。今年の成人式の振袖姿の娘さん達を見ていて、娘の成人式を思い出した。振袖は着ないと言うかなと思ったけれど、意外なことに赤かピンクのを着たいと積極的だった。
やっぱり女の子だと喜んでいたら、皆がしている、あのフワフワの白いショールは嫌だと言い、寒いからしなさいといくら言ってもだめ。
結局、首筋スースーと寒そうなまま、成人式の会場に向かった。終わった時に会場にのぞきに行ったのだが、私が見た中で、ショールをしていないのは娘だけ。振袖は可愛いのに、なんだか貧弱に見えた。首元スカスカの娘は、「やっぱり母親の言うことを聞いて、ショールをすれば良かった」という反省は全く無く、「私は私が好きなように、皆と同じじゃなくてもいいのさ」という自信に満ちていた。誰にも似ていないこんな娘だけど、やっぱり愛しい。