日暮れて途遠し
声高に叫ばれ続けて消えてゆく
復旧 / 復興 / 絆の言葉 三原 由紀子
レコードに昭和の埃小瑠璃鳴く 侘助
AVの世界では今、高解像度の波が押し寄せています。こう書くと「ボカシもなくなったのか?」と腰を浮かしかけた愛好者諸兄。AVといってもテレビやオーディオのことですよ。4Kテレビやハイレゾ音源といった、従来の四倍から六倍の情報を再生できる機器が店頭に並んでいます。でもそんな波に逆らうように、私の最近の楽しみはLPレコードを聴きながら一杯やること。クリーナーで拭っても拭っても残るわずかなノイズさえも心地よく、すっかり忘れていた柔らかく艶のある音でジャズを聴いています。みなさまも納戸の隅にうっちゃられた古いレコードが残っていたら、一度ホコリを払って針を落としてみませんか。
さてと、前回話のタネにした小保方さんのSTAP細胞はたいへんなことになってしまいました。画像の切り貼りと自身の過去の論文からのコピー&ペーストが明らかになり、誰も追試に成功していないことと、その実験ノートの少なさから、発表されたデータ自体が改ざん・ねつ造されたものだとさえ囁かれています。でも、今もなお私は小保方さんを信じようと思っています。割烹着姿で、「ちょっとしたコツ」を駆使しながら、あの緑色の細胞を作ってどこが不正なのでしょうか? 一流の板前だって大衆食堂のオバチャンだって、データとして表せないコツを使って料理の味を劇的に変えてるんじゃないですかね……あゝ論理的に応援できない自分が悲しい。
私はこの頃、真綿でじわりと首を絞められるような重苦しい心もちになることがよくあります。やらなければならないことがあるのに、少しも前に進まない。やり残したことがあるのに残された時間がない、といった焦燥感ですね。そんな折、こんな言葉に出会いました。これを小保方さんにも贈りたいと思います。
私は百六才。耳が遠いです。
人生について色々知ってるわ
私が学んだことを世の中の人に伝えたい
失敗から学びなさい
今を生きなさい
なぜなら、人生って素晴らしいから
あなた自身が良くしていくの
ごまかしちゃいけないってことを学んで
奇跡はあなたの周りに沢山ある
強く
常に真実を伝え
目をしっかり見開いて
時には口は閉じたままで
文句は言わない
恐れずに
やれと言われた事に常に従わなくてもいい
臆病者になるな
躊躇すれば負ける
悪い子になれ
ペダルをふんで
早く走れ
でも、絶対にあなたが何者なのか、
忘れてはいけないよ。
(米国の自動車メーカーのテレビCM。ギズモードのホームページより)