ノスタルジックな劇場で銀幕のスターがよみがえる

古き良き昭和の時代。旭川には数多くの映画館があり、銀幕のスターに会いに来た人達で賑わっていました。そんな映画館の代表が、「国劇」の名で市民に慕われていた旭川国民劇場です。しかし時代の流れの中、平成16年に閉館。いつの間にか街なかの映画館は姿を消し、淋しい現状が続いていました。それが昨年6月、「シアターカンダ」として復活。「旭川の街のために」と話す新オーナー、神田青果代表の神田守さんにお会いしてきました。

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レザー張りの重いドアを開け階段を登ると、赤いシートが並ぶレトロな空間が広がります。古いけれど落ち着きがある、ノスタルジックな劇場です。この国劇ビル(現神田館)は、昭和35年頃に建てられ、全盛期には国劇の他、ミラノ座や名画座など多数の劇場が入っていました。
平成16年に幕を閉じた国劇ビルを購入したのが、神田青果の神田守さん。翌年ビル内にホテルカンダをオープン、昨年は3階の国劇跡にシアターカンダを開館させました。

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下士別出身の神田さんは、約五十年前、二十代の時に旭川で青果店を開業。「五十年、旭川で商売をさせて頂いた恩返しがしたい」と、街の活性化の為に同ビルの購入に踏み切りました。シアターカンダも、映画好きな方々の「中心街に映画館を」という声に応えてオープン。名作と言われるクラシック作品を、毎週末(金土日)、週毎に内容を変え上映しています。料金は1作品一般七百円、小学生・シルバーは五百円、2作品千円という嬉しい設定。「自分にできることは少しでも安くして、多くの人に足を運んでもらえるようにすること。それが幾らかでも街のためになれば良いかなと思って」と神田さん。映画館は神田さんにとって商売ではなく、地域貢献の形なのです。

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半世紀の歴史を持つ同ビル。現在はプロジェクターで上映していますが、古い映写機を見たいという私の我が儘に、特別に残っていた映写機を見せてくれました。十数年使われていない8階の映写室。電気が付かず、神田さんが懐中電灯で照らしてくれた灯りの先に、大きな映写機が2台。フィルムを巻き取る円盤のような装置、そして無造作に置かれたフィルム。映画しか娯楽の無かった時代、人々はこの映写機で映る銀幕の中に、夢や希望を見ていたのです。
劇場はレンタルもOK。ステージ・ライト・音響を新たに設けたので、一体感のあるイベントやライブなどが懐かしい空間で行えます。
街なかに再び灯った映画の灯り。その灯火を消さないためにも、ぜひ足を運び映画を楽しんで下さい。

 

問合せ:シアターカンダ
旭川市3条8丁目神田館 TEL.0166-29-1133/0166-29-0100